● 第5回知的財産翻訳検定<第2回英文和訳>試験 標準解答と講評
標準解答および講評の掲載にあたって | |
当然のことながら英文和訳の試験では「正解」が幾通りもあり得ます。 また、採点者の好みによって評価が変わるようなことは厳に避けるべきです。このような観点から、採点は、主に、「これは誰が見てもまずい」という点についてその深刻度に応じて重み付けをした減点を行う方式で行っています。また、共通課題について2名、選択課題の各ジャンルについてそれぞれ2名の採点者(氏名公表を差し控えます)が採点にあたり、両者の評価が著しく異なる場合は必要により第3者が加わって意見をすりあわせることにより、できるだけ公正な評価を行うことを心がけました。 ここに掲載する「標準解答」は作問にあたった試験委員が中心になって作成したものです。模範解答という意味ではなく、あくまでも参考用に提示するものです。また、「講評」は、実際に採点評価にあたられた採点委員の方々のご指摘をもとに作成したものです。 今回の検定試験は、このように多くの先生方のご理解とご支援のもとに実施されました。この場をお借りして御礼申し上げます。 ご意見などございましたら次回検定試験実施の際の参考とさせていただきますので、「標準解答に対する意見」という表題で事務局宛にemail(office@nipta.org)でお寄せください。
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(1)冒頭の規定趣旨に関しては、deserve, serveといった語句の訳出に苦労されたようです。deserveに関しては、単に「有用あるいは価値がある特許が発行されると」、と解した例も散見されましたが、「発明者が当然特許を受けるべき範囲で権利化されると」、という意味合いが出るようにする必要があります。serveについてはただ辞書の訳語を当てはめるだけではわかりにくい表現になりがちなので、文の意味内容をとって表現を工夫する余地がありそうです。そういう意味で、この部分だけでなく全体を通してもですが、採点に当たっては、翻訳の域を逸脱して要約レベルとなっているといった特別な例は別として、基本的に一対一対応のいわゆる逐語訳であるかどうかはあまり考慮しませんでした。
(2)attorney and agentについてはさまざまな訳語が百出しました。場合によってはひとくくりに「代理人」といってしまえば済むとも考えられますが、本課題では「attorney = patent attorney →特許弁護士」、「agent = patent agent →(米国の)弁理士」を一応の正答としました。詳しくは連邦規則11.6節(37 C.F.R. 11.6)等を参照してください。
(3)情報開示すべき対象を規定するmaterialityの用語も簡潔かつ的確に訳出することが難しかったかと思われました。37CFR 1.56(b)に規定されているところを踏まえれば、多数の方が採用した「(審査にとって)重要な情報」という表現から一歩踏み込んで、「クレーム発明の特許性に関わる情報」であることを訳文に表した方がよいでしょう。もちろん実務上情報開示の内容について出願人や発明者に説明する上では、ある情報がmaterialであるかどうかを出願人等が主観的に判断して開示の要否を決定することに伴うリスクについても伝える必要があるでしょう。
(4)”Materiality controls....”の文章について、「開示の要否が情報の重要性を決定する」等、文の構造を誤解したと思われる誤りが多く見受けられました。前段の記述からの流れに沿えば「情報源等ではなく特許性に関わる情報であるかどうかにより開示しなければならないか決まる」という文章の要旨は見通すことができると思われますので、訳文が一連の文章中でそれらの流れに沿っているかどうかを意識することも重要かと思われます。
電 気 機 械 問題(機械工学)PDF形式175KB 標準解答(機械工学)PDF形式118KB 化 学 |